料理人が果たすべき社会的な役割は美味しい料理を作る事だけではありません。日本各地に伝わる和食文化を継承すると共に時代の要請である「食の多様性」を踏まえた新たな形での食文化を創造し、国内外へ発信を致します。

日本各地に伝わる地元食材や郷土料理、地酒に食器と言ったそれぞれの土地における食文化は各地域で綿々と受け継がれて参りました。

一方で様々な環境の変化により、受け継がれてき​た食文化を次なる世代へと受け継ぐ事の難易度は年々上がり続けております。

その理由に各地域を取り巻く環境の変化が年々加速している事が挙げられます。

具体的には首都圏一極集中による農村の過疎化と超高齢化、深刻な後継者不足問題、耕作放棄地の増加、日本全国に目を向けますと毎年50万人の人口減少、温暖化を起因とする異常気象、2020年から未だ続くコロナ禍と言った多くの課題を抱えております。

課題を乗り越える際の指針となるのは、変わらなくてはいけない事と変えてはいけない事の棲み分けです。

キーワードは、「食の多様性への対応」です。

様々な嗜好を持つ人達に寄り添う優しさを持ち合わせた新しい和食文化の確立こそ、次なる世代へと受け継がれて行く上での必須条件であると考えます。

公邸料理人としてこれまで10年間、カナダ、中国、フランスの3ケ国で様々な国籍や食へのこだわりがある方々をもてなして来た経験を活かし、一料理人として和食文化の継承と更なる発展に全力を尽くして参ります。